インタビュー
福岡キャリア・カフェ ロールモデルインタビュー企画 【私のストーリー】
このコーナーでは、福岡キャリア・カフェ統括コーディネーターの村山由香里氏が、ロールモデルの女性に取材インタビューを行い、それぞれのキャリアの転機や今思うことなどを語ってもらいながら、「100人100色ワタシ色」のキャリアを描くためのノンフィクション物語とヒントをお届けしていきます。
第二回は、10年ぶりに再就職を挑んだ今井 香那子(いまい かなこ)さんにお話を伺いました。
今井 香那子(いまい かなこ)さん
スリーアール株式会社 総務人事部 副主任
業種: 卸売業・小売業
創業年:2001年
ホームページ:https://3rrr-hd.jp
私のストーリー
スキルも自信もなかったけれど
今井香那子さんは、転勤族の夫について、福岡、東京、仙台と転居し、第一子出産を機に退職。10年の専業主婦生活を経て2018年に再就職した。再就職活動を始めた頃は、スキルも自信も何もなく、自分が働くことを家族に対して罪悪感さえ抱いていた今井さんだが、今では笑顔で「子育てと仕事の両立は大変だけど、その分どちらも楽しい」と言い切る。週3日、9時から15時までの時短社員として入社して少しずつ勤務時間を増やし、5年目の現在はフルタイムで勤務している。 再就職のきっかけは、下の子が小学校に入学したことと自立したいと思ったこと。美容院に行くにも「行ってもいい?」と夫に尋ねる生活に、なんとなく息苦しさを感じていたという。
「ごめんね」ではなく「ありがとう」
そんな時見つけたのがママドラフト会議だった。働きたい主婦が企業の採用担当者の前でプレゼンする企画だと聞いて一念発起した。プレゼンの講習を受ける中でこんなことを言われた。「仕事は悪い事ではないでしょう。一生懸命働いていることを子どもに謝らないで。」「ごめんね、ではなくありがとう!と伝えて。」再就職に対して、前向きに取り組む勇気をもらった言葉だった。今では、仕事から帰って子どもの笑顔を見る瞬間がこの上なくうれしい。「子どもたちは私が働くことを嫌がっていましたが、今は応援してくれています。進んでお手伝いをして私を気遣ってくれるようになったことに成長を感じ、頼もしくてうれしいです。夫の扶養を外れたことも、心密かにうれしかったことのひとつ。やっと自分の足で立てるようになりました。」
私流リーダーシップ
時短勤務でも昇格できる会社
今井さんは、現在、副主任という役職で部署の中核人材を目指してトレーニングを受けている最中だ。再就職先を選ぶ際、今の会社に決めたポイントになった1つが、時短勤務でも昇格制度があることだった。せっかく働くのなら、きちんと評価されるような働き方をしたい。ママさん社員が時短勤務でいきいきと働く会社は理想だった。入社して4年経った春、仕事ぶりが評価されて副主任に昇格した。少しずつ慣らしながら仕事量を増やしていける会社に巡りあってありがたいと思っている。
明るいリーダーになりたい
今井さんは、「俺の背中を見ろ!」的なリーダーが苦手だ。上に言われたことに従うだけの仕事の仕方はやりがいがないと思う。コロコロと方針が変わるリーダーも困る。部下に伝える時の「言い方」が気になるという「子育てしていても、同じことを言うのにどっちの言い方をしようかと考えます。」言葉次第で、人をやる気にさせることができるし、反対にやる気を削ぐこともある。指示に筋が通っていて相手に寄り添いながら任せてくれるようなリーダーが理想だという。将来は、言葉を大事にしながら、チームに寄り添い前向きにコトを進める明るいリーダーになりたいと思っている。
私のロールモデル
今井さんにとってのロールモデルは、同じ会社の女性社員だ。3年前に役職者雇用で入社した同じ部署で隣のチームの課長代理だ。ある時、「私は自分を肯定し何が出来るのか強みをはっきり伝えた方が良いと思う。私はできるよ」と言われた。今まで接した女性は、良くも悪くも「私なんて」と謙遜する人が多かったので新鮮に感じた。また、「チームの皆がいるから私がいる」という言葉も新鮮だった。いつか自分も、相手を前向きな気持ちにさせる彼女のような愛のあるリーダーになりたいと思っている。
【取材後記】
近年、第一子出産で退職する女性は3割に減少し、ダイバーシティ経営の観点から転勤制度を見直す企業も増えてきた。一方、今井さんのように転勤族の妻で退職を余儀なくされている女性は多い。仕事にも自分にも自信をつけ、希望あふれる笑顔の今井さん。「夫の扶養を外れたんです」と喜びを語る今井さんに思わず拍手した。
(取材:文 村山由香里)