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インタビュー企画【私のストーリー】第5回:南和江さん〜パラレルキャリアで自分らしく〜

福岡キャリア・カフェ ロールモデルインタビュー企画 【私のストーリー】

このコーナーでは、福岡キャリア・カフェ統括コーディネーターの村山由香里氏が、ロールモデルの女性に取材インタビューを行い、それぞれのキャリアの転機や今思うことなどを語ってもらいながら、「100人100色ワタシ色」のキャリアを描くためのノンフィクション物語とヒントをお届けしていきます。

第五回は、南和江(みなみ かずえ)さんにお話を伺いました。

南 和江(みなみ かずえ)さん
Kazu Lab 代表
業種: 専門・技術サービス業

私のストーリー

パラレルキャリアのスタートは社内で覚えたMac

フリーランスでグラフィックやwebのデザイナー、IT会社で社内効率化のクラウドツールを顧客に教えるセミナー講師という2つの顔を持つ南和江さん。いま流行りのパラレルキャリアの仕事スタイルを続けている。IT会社からは、「正社員に」とオファーもあったそうだが、自由な働き方がしたくて「業務委託」という働き方を選んだ。

そんな南さんのキャリアのスタートは、高校卒業後に入社した印刷会社にあった。その頃の印刷は今と大きく違っていた。南さんはオペレーターとして入社し、写植機で文字組みをし、版下を作る仕事をした。ほどなく、業界にデジタル革命という大波がやってくる。印刷の工程が大幅に削減された。紙に書いた文字と写真を入稿する方法から、データ入稿が主流になり、写植も版下も無くなった。当時、オペレーターからデザインの仕事へと幅を広げつつあった南さんは、会社に導入されたMacと格闘しながら、誰からも教わることなく、Macでデザインすることを覚えていった。

「デザインが好き!」が抑えられない。

27歳でwebデザイナーとして転職し、30歳で独立した。グラフィックとwebの両方ができるのは強みだった。自営業者が集まる異業種交流会に行くと知り合いができ、企業のチラシやweb制作の仕事も入ってくるようになった。

36歳で結婚。相手は割烹料理店の3代目だった。

「結婚と同時に仕事はやめてくれと言われたんです。その時は割烹もおもしろいかなと思ったんですよね。デザインの仕事も少しならできるんじゃないかと思っていました」。結婚と同時に、接客、仕込み、経理等、若女将として店を切り盛りする日々が始まる。

39歳で出産し、産後1ヶ月で店に立った。43歳で2人目を出産。仕事も子育てもいっぱいいっぱいだったが、デザインへの思いは増すばかり。何度も夫に相談したが、受け入れてくれない。内緒で仕事を受けてみると「楽しくて楽しくて!」。朝4時に起きMacに向かい、何食わぬ顔で朝食の準備をし、子どもを保育園に送り、店に向かった。 46歳で離婚した。原因は南さんの「デザインの仕事がしたい」。貯金は全くなかったが、晴れ晴れとした気持ちで全く不安はなかった。

私流リーダーシップ

「聞く」と「伝える」を大事にデザインワーク

会社員時代は、チーフやアシスタントマネージャーの肩書きで、後輩をまとめる立場にいた。現在はフリーランスなので、仕事で部下をまとめるような状況にはない。

ただ、クリエイティブの仕事は、デザイナーやライター、カメラマン、ディレクターなど、多くの人がチームを組んで仕事する。大小はあるが、一つの案件ごとにプロジェクトを組み、顧客の意向をくみ取り、方向性を決め、仕事を進めていく。ディレクターがいることもあれば、デザイナーやライターがディレクター的立場でリーダーシップを発揮していくこともある。

南さんもリーダー的にまとめる立場の時もあれば、チームメンバーとしてデザインだけを担当することもある。そんな南さんが大切にしているのは、「聞く」と「伝える」。顧客の漠然とした思いを形にするのがデザインだ。顧客の思いに寄り添い、チームで最高の表現をしたいと思っている。

自分の人生のリーダーは私

離婚後、せきを切ったようにいろいろなことに挑戦し始めた。IT会社でセミナー講師という安定した仕事とフリーランスでデザインをするという2本柱に加え、MCの勉強をして結婚式の司会をしたり、占術鑑定士の資格を取得して起業家相手に占ったり、畑をしたり。興味のおもむくままに縦横無尽。

コロナ禍で外出規制のある頃、ナチュラルブランディングという講座を見つけ、オンラインでマーケティングやブランディングを学んだ。自分の軸が欲しいと思っていた時だった。何が好きなのか、誰の役に立ちたいのか、本当にしたいことは何なのか、自分自身を深掘りして出てきた答えは、「人に寄り添って思いを伝えるデザインをしたい」。

自然体でいたい、自由でありたい南さんは今、誰にも縛られることなく、自分の人生を切り拓いている。

私のロールモデル

SNSを通じて出会ったirodori Branding株式会社代表の村本彩さん。ナチュラルブランディング講座の主宰者だ。村本さんの自分らしさを活かすところ、自然体でビジネスもプライベートも大事にする姿に惹かれた。福岡であんなふうな生き方、働き方をしたいと思っている。

【取材後記】

南さんは新しいことに挑戦することが好きなのだろうと思う。そして何より勇気がある。会社に導入されたMacを1人で覚えてデザインができるようになったり、セミナー講師、司会業、占い師と、短期間に一点集中で勉強して収入を得るプロになる。仕事につながるのは、すべて人とのご縁だという。好奇心いっぱいで楽しそうな南さんに人が引き寄せられてくるのかもしれない。(取材:文 村山由香里)