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インタビュー企画【私のストーリー】第3回:南聡子さん〜30代で異業種の航空業界へ〜

福岡キャリア・カフェ ロールモデルインタビュー企画 【私のストーリー】

このコーナーでは、福岡キャリア・カフェ統括コーディネーターの村山由香里氏が、ロールモデルの女性に取材インタビューを行い、それぞれのキャリアの転機や今思うことなどを語ってもらいながら、「100人100色ワタシ色」のキャリアを描くためのノンフィクション物語とヒントをお届けしていきます。

第三回は、南 聡子(みなみ さとこ)さんにお話を伺いました。

南 聡子(みなみ さとこ)さん
株式会社スターフライヤー 執行役員 経営企画本部副本部長兼財務経理部長
業種: 航空運送業

私のストーリー

仕事も育児も一生懸命。その糸が切れて転職した先は。

南聡子さんは、北九州の航空会社、株式会社スターフライヤーの執行役員。柔らかな物腰と落ち着いた口調で堅実な人柄を感じさせる女性だ。南さんは転職組。新卒で入社したのはスーパーマーケットだった。全国に転勤ができるのが入社の決め手だったという。そこでは、大卒は早期にリーダー職を任される。入社2年目にはアルバイトやフリーターなど30人を率いるリーダーとしてアウトドア用品を担当した。札幌、博多、神戸と転勤し、25歳で結婚、28歳で出産した。

当時、先輩たちは育休から戻ると降格や異動していた。管理職昇格の打診を受けていた南さんは産後8ヶ月で復帰する。慣れない土地での仕事と子育て。保育園の呼び出しは必ず自分にかかってくる。なんで自分ばかりなのか。産後うつにも罹り、ワンオペ育児に限界がきていた。離婚の決定打は夫の「聡子の仕事なんてたいしたことないよ」という言葉だった。「この人がいなくても生活できる」と離婚を決意し、地元北九州に戻ることにした。

航空ベンチャーで、未経験からのキャリア。

北九州市の転職情報サイトで紹介されたのは無名の航空会社。就航前で、社員も10数名のベンチャー企業だった。2005年に転職し、入社直後から、怒涛のような毎日が始まる。

毎朝子どもと一緒に通勤電車に乗り、小倉駅構内の保育園に預けた。母がいたからこそ、時間に制約なく仕事ができた。配属された整備部門で最初に渡されたのは英語の契約書の厚い束。これから部品調達や整備の契約をするのだ。わからないと言っていられない。「やらなきゃ飛ばない」という切羽詰まった状態だった。当時の職場の合言葉は「終電では帰ろう!」だったという。1年後の2006年3月、移転した北九州空港開港と同時に就航させることができた。他の航空会社の半分の期間という異例のスピードでの就航だったという。

あれから20年近く経ち、社員数は700名を超え、機体も増え、海外便も就航している。整備部門で着実に成果をあげてきた南さんは、2019年に財務部門に異動。2022年、執行役員経営企画本部副本部長兼財務経理部長に就任した。

私流リーダーシップ

アサーション活動で風通しのいい職場づくり

整備部門で管理職に昇格していた南さんに白羽の矢が立ったのは、全く専門知識のない財務経理部門の課長職だった。当時、財務経理の部下たちは、長時間勤務が常態化していた。部長に言われたのは「ES(従業員満足度)を向上してくれ」。経営会議の内容を伝え、みんながしゃべりやすい雰囲気を作った。また、整備部門で必ず学ぶ「アサーション活動」を財務経理部門でも取り入れた。アサーションとは、相手を尊重しつつ自分の意見を伝えるコミュニケーション方法の一つで、航空会社ではヒューマンエラー防止のために重要なスキルだが、財務部門では浸透していなかった。上手にアサーションできた人にスタンプを押す「アサーション活動」を取り入れ、上司に対しても意見を言える雰囲気が広まると、長時間勤務が激減した。

「素の自分を出していいですよ」

リーダーシップについて問うと、「自分が一番がんばることかな」とサラリと答えが返ってきた。「南さんががんばっているから俺らもやるよ」。そう言ってついてきてくれた。部下の指導育成では、時に一緒に動き、時にちょっと背中を押してやる。新しいこと、小難しいことは、自分が動いて「ほら、大丈夫だよ。一緒にやろう」と伴走する。行動で示し、仲間たちを大きく包みつつ、仲良く一緒に考えてチームを動かしてきた。管理職になったばかりの頃、北九州市の女性管理職向けの研修に参加した。カウンセリングを受け、「素の自分を出していいですよ」と言われた言葉は支えになっているという。

私のロールモデル

ロールモデルはいなかった。社内には個性豊かないろいろな人がいるので、上司だけでなく後輩などいろいろな人のいいところをちょっとずつ学んでいるという。人との接し方では、後輩女性の話す時のタイミングや切り出し方が学びになった。また、時々愚痴を聞いてくれる専務は南さんを財務経理に抜擢した方だ。 「これからも自分に期待される役割を考え、所属や肩書にとらわれることなく、柔軟に自分らしく生きていこうと思っています」と語る姿は清々しい。

社外メンターとして

#管理職へのチャレンジ
#結婚・出産のライフプランとキャリア
#子育て期の離職(休職)を経てのキャリア形成
#自分なりのキャリアの見つけ方
#子育てとの両立

所属事業所概要

株式会社スターフライヤー 執行役員 経営企画本部副本部長兼財務経理部長
社員数:710名(2023年3月31日現在)

【取材後記】

飛行機を飛ばす前の航空会社に入社して会社が成長していく過程の現場で仕事してきた南聡子さん。さぞやエキサイティングでチャレンジングな毎日だっただろうと思う。手探りで自分なりのリーダーシップを体得し、部下を率いてきた。しかも子育てしながら。これからも、南さんの活躍に目が離せない。(取材:文 村山由香里)